歯を磨いていたら突然歯茎から血が出てきたことがある方は多いと思います。
わたしも「歯茎が痛いな、ちょっと出血してるな」と悩む時がたまにあります。
そんな数多くある悩みの原因と対処法を「実際歯科医院に勤めている私」がわかりやすくお話ししていこうと思います!
◆目次◆
今すぐに、お近くの歯医者を受診しましょう!
歯茎からの出血のほとんどは傷などがない限り「歯肉炎・歯周病」が主な原因です。歯磨きでのブラッシングが不十分で汚れが溜まってしまうと、細菌が増えて影響の受けやすい歯茎は炎症を起こしてしまいます。
日本人の成人の半分は「歯周病」と診断され、歯医者さんで治療をうけています。ですが歯医者さんに「痛みや問題があるから行く場所」と考えている方も多い為、日本人の成人全体の約80%以上の人は「歯肉炎・歯周病」であると言われています。
「毎日綺麗に歯磨きしてるよ!」と言う方でも、個人の磨き方の癖によって誰しも磨き残しがあります。その証拠に歯茎から出血して痛みがある部分は、毎回同じような場所であることが多いです。
|
歯茎からの出血の原因の大半は「歯肉炎・歯周病」ですが、それ以外にも下記のような原因が考えられます。
1.過度な歯磨き(ブラッシング)
歯をきれいにしようと思うあまり、過度なブラッシングをしてしまっている方もいます。
特に、男性の方が硬めの歯ブラシを使うと歯茎を傷つけてしまうことが多々あります。
歯ブラシを普通・柔らかいものに変更し、できるだけソフトに歯を磨きましょう。
2.服用している薬がある
薬物性歯肉増殖という、薬のよって歯肉が腫れあがってしまい、歯茎から出血が止まらなくなってしまうケースもございます。
こういった場合は出血がなかなか止まらないこともあります。
ブラッシングで炎症を抑え、歯磨き粉なども研磨剤がそれほど入っていないものを選びましょう。
どちらにしても、一度歯医者さんに行ってしっかり診断してもらうことをおすすめします。
歯茎から出血がでる原因を取り除くことが改善に導く近道です。
少量の出血や痛みの場合、次のことを試して見てください。(応急処置)
|
出血部分の部位を重点的にブラッシングすることで、余計出血するので触れない方がいいのではないかと疑問に思われる方もいると思いますがそれは間違いです。出血の原因である汚れを炎症している部分から除去しなければ治りません。炎症している為痛みを感じやすいですが、硬くないブラシで優しく磨くことで汚れを血と一緒に除去することができます。
上記対処法をすることで3日以内に出血や痛みが治まってくることがほとんどです。
歯の周囲についている汚れは普通のブラッシングで除去できれば改善して行きますが、ブラシが届かない歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に入り込んで炎症している場合や汚れが蓄積され歯石になってしまうと普通のブラッシングでは除去できず歯医者さんでの専門的な治療が必要です。
歯茎からの出血や痛みが治った場合でも次のことが当てはまる場合必ず歯医者さんへの受診が必要です。
・繰り返し出血を繰り返してる
・出血がなかなか止まらない
・歯茎の色が健康なコーラルピンク色でなく、赤黒く腫れている
・歯がゆれている
歯茎の炎症は痛みを伴わず、進行してしまう可能性もあります。進行してしまうと「歯茎」が形を変え「骨」まで溶かし、支えている「歯」を失ってしまう「歯周病」になってしまいます。
日本人の歯を失う原因1位は虫歯でなく「歯周病」となっており、永久歯(成人の歯)は失ったらもう生えてきません。
手遅れになる前に歯医者さんへ行くことをオススメします。
歯茎から血が出るほとんどの原因は「歯肉炎」・「歯周病」です。
ですが、それ以外にも下記のような病気、疾患、生活習慣が原因で、歯茎から出血が起こることがあります。
◆歯科疾患
◆体の中の要因(内科)
◆生活習慣
など...。
歯茎から血が出る要因は多岐にわたるので、しっかりと医師の方に診断してもらう必要があります。
「いやいや口の中の病気でしょう?全身疾患に関係するなんて言い過ぎ!!」と思われた方、要注意です。私も歯科医院に勤める前までは、そんなことを思っていました。
恐ろしいのですが、歯周病が重度になるにつれ全身疾患にもなりやすく、重症化しやすくなります。仕組みは歯周病によって炎症した部分から、歯周病菌や炎症物質が侵入しそのまま血液にのって全身に運ばれることが原因のようです。
・認知症(脳) ・ガン ・狭心、心筋梗塞(心臓) ・肺炎(肺) ・心内膜炎(すい臓) ・肥満、糖尿病 ・動脈硬化(血管) ・骨粗鬆症(骨) ・バージャー病(手足の先) ・早産、胎児の低体重(妊婦) |
このように見てみると、知っている病気が多くありませんか?
全身の病気の原因の一つにもなってくるのが「歯周病」です。歯医者さんが行なっている定期検診に行っている人に比べて、行かない人の認知症になる確率は高いと数値にもでています。
歯医者さんの定期検診に行くと、お口の中も健康で認知症などの全身疾患の予防もできてしまいます。
先ほどから「歯肉炎・歯周病」と言っていますが、その症状やどんな病気なのか理解していると安心できることも多いと思いますので、ご紹介していきます。
※歯肉炎が進行すると歯周病になります。歯周病とは歯を支える骨まで溶けている状態のことです。骨は一度溶けてしまうと自然治癒することはありません。
上記レベルを見て自分はどこの位置にいるのか把握しておくことは、とても重要です。レベル❸以降についてはできるだけ早くお近くの歯医者さんへ足を運んでください。 レベル❶❷の人であっても定期的な検診はとても大切です。歯医者さんへ足を運んでいただき自分がどのくらいの頻度で定期検診に行けばいいのか、把握しましょう。
|
今後歯茎から血が出ないようにするために、自分たちでできる予防法は3つあります。
1.病院と家庭での適切なケア
歯周病の治療において最も重要なことは、日々の歯磨きを適切に行うことです。
どうしても自分一人で歯磨きをしても、磨き残しが出てしまい、再発の恐れがあります。
歯の専門家である歯科衛生士の歯磨き指導の下、ひとりひとりにあったセルフケアが必要です。
ケアができていないと、どれだけ歯周病治療を行っても効果がありません。
2.歯周病治療の定期的な受診
歯周病治療では、主にプラークや歯石を除去する「スケーリング」や、歯周ポケットの中をきれいにする「SRP」、歯石などを徹底的に除去する「フラップ手術」などを行います。
歯周病治療は1回で終わることはほとんどなく、大半が長期的な治療になります。
途中で治療を中断して終了してしまうと、まだ元通りの歯周病状態に戻ってしまいます。
治療完了まで継続して受診し、また、再発予防のためにも定期検診を受信しましょう。
3.生活習慣の改善
喫煙や暴飲暴食、過度なストレスなど、歯周病になりやすい生活習慣は治療の妨げになってしまいます。
習慣になっているのでなかなか治すことは難しいですが、良い機会だと思って少しづつ治していきましょう。
健康な出血のない歯茎を維持するためには、自分でのブラッシングも大切ですが歯医者さんでの定期検診やクリーニングを行うことが大切です。
歯周病のリスクはひとりひとり違います。ですので自分にあった頻度で歯医者さんに行っていただきたいです。そして磨き残しの多い場所や正しいブラッシング方法、歯ブラシ硬さ、歯間ブラシのサイズを正しく把握して、歯に痛みや出血を感じない生活を手に入れましょう。
私も歯医者さんでの定期検診と自分でする正しいブラッシングで、歯茎が時々出血していましたが改善しました。
ぜひ私の経験がお役に立てればと思います。
1.歯茎から血が止まらないのはなぜ?
2.こどもの場合も出血は歯周病が原因なの?
3.出血していたらすぐに歯医者に行ったほうが良い?