高度成長とバブルの黄金時代

高度成長とバブルの黄金時代

昭和30年（1955年）頃から、日本は高度経済成長の波に乗った。新宿はこの波をがっちりつかみ、商業、ビジネス、娯楽の中心として飛躍した。昭和33年（1958年）、新宿駅の東口広場が整備され、1960年代には地下鉄丸ノ内線、京王線、小田急線、西武新宿線がつながり、駅は世界一忙しいターミナルとなった。1日の乗降客は100万人を超え、ルミネ、ミロード、アルタといった店が若者を引きつけた。駅の改札は、まるで人の川のようじゃった。
昭和39年（1964年）の東京オリンピックは、新宿に大きな風を吹かせた。甲州街道や青梅街道が広げられ、淀橋浄水場が移って新宿中央公園が生まれた。西口の再開発で、昭和46年（1971年）に京王プラザホテルが開業。日本初の超高層ビルで、47階の巨人は新宿の空を変えた。昭和49年（1974年）に新宿住友ビル、昭和53年（1978年）に新宿三井ビルが続き、西口はビルの森となった。ビルの窓に夕陽が映り、町は黄金に輝いた。
歌舞伎町は「東洋一の歓楽街」と呼ばれ、1960年代には映画館、ボウリング場、ディスコが賑わい、1970年代にはホストクラブや風俗店がはえた。夜の通りはネオンの光で溢れ、若者たちの笑い声が響いた。1970年代後半、外国人労働者や観光客が増え、東南アジアや中国の料理店、マッサージ店が並び、国際的な香りが漂った。だが、暴力団の影も濃くなり、1980年代には治安の悪さが問題になった。町の女たちは、夜道を急ぎ足で歩いたもんじゃ。
新宿二丁目は、1970年代にさらに輝いた。ゲイバーが数十軒に増え、ドラァグショーやパーティーで賑わい、「東京のグリニッジ・ヴィレッジ」と呼ばれた。フェミニストやアーティストも集まり、自由な文化の花が咲いた。バーのステージでは、色とりどりの衣装が舞い、拍手が鳴り響いた。町の若者たちは、この自由な空気に心を奪われた。
1980年代のバブル時代、新宿は黄金の頂点に立った。地価が跳ね上がり、昭和59年（1984年）に新宿ミロード、昭和62年（1987年）に新宿ルミネ2が開業。ファッションやグルメの流行が生まれ、若者たちは新しい服を着て町を闊歩した。西口には、平成元年（1989年）に新宿センタービルがそびえ、大企業のオフィスが集まった。昼はビジネスマン、夜は若者や観光客で溢れ、新宿は眠らない町として世界に名を馳せた。町の子どもたちは、ビルの明かりを見て、大きな夢を抱いた。
新宿御苑は、1970年代から一般に開かれ、桜や紅葉の名所となった。1980年代には、フランス式庭園や日本庭園が整えられ、都会のオアシスとして愛された。バブル期には、企業のパーティーや映画の舞台にもなり、新宿の多面性を示した。御苑の池には、鯉がゆったり泳ぎ、訪れる者に平和をくれたんじゃよ。