ワイヤー矯正とマウスピース矯正のメリットデメリット
1.見た目
誰もが最もわかりやすい違いとして見た目があげられます。 ワイヤー矯正は歯にワイヤーが装着されていて器具が目立ちます。 最近は金具やワイヤーがセラミックで白いものや色が付いたカラフルなものがあったりして以前とはだいぶ違った印象がありますが、やはり口もとに装着されているため目立たないとは言い難いです。
どうしても口もとに目が行きがちで、大きく笑うことをためらう場面もあるでしょう。
マウスピース矯正は透明なマウスピースを装着するので、見た目はほとんど変わりません。
隣で友人がマウスピース矯正をしていても、言われたり、食事の時に外すところを見ない限り、マウスピース矯正をしていると気が付かないほど自然です。
ただ、装着し始めたころは、違和感があり滑舌が少し悪くなります。
見た目をまったく気にしない方は別ですが、表面的にはマウスピース矯正の方がメリットは大きいでしょう。
2.清掃性
ワイヤー矯正は口の中にブラケットと呼ばれるワイヤーの固定器具とワイヤーがあります。
食事の時も取り外すことはできませんので、食べ物が器具やワイヤーに付着してしまうのは避けることができません。 食べ物が付着して残ってしまうと、口の中が酸性に傾いて虫歯リスクも上がってしまうため、食後の歯みがきは必須と言えます。また、通常の歯ブラシではしっかり取り除くことができないこともあるため、念入りの歯ブラシと定期的な歯科医院での清掃が必要です。ワイヤー矯正専用の器具も売っていますので、それを利用するのもいいですし、こまめに歯ブラシをして口の中を清潔な状態に維持しなければいけません。
マウスピース矯正では、必要に応じてマウスピースを外すことができるため、通常通り食後の歯みがきをすればある程度口腔内を清潔に保つことができます。マウスピース自体も時々洗浄剤を使ったり、家庭用の超音波洗浄機を使用したりして清潔に保つことで、口腔内の虫歯リスクはかなり低くできます。 それでも歯と歯の間までしっかりキレイにすることができない部分もありますので、定期的な歯医者でのクリーニングをお勧めします。
清掃性の点では、マウスピース矯正の方がメリットが大きいです。
3.費用
矯正治療の費用は以前と比べて非常に安価になってきたと言えます。 大きく分けると部分矯正なのか全顎矯正なのかで違いがあります。 全顎矯正であれば、ワイヤー矯正では40万円程度から150万円と幅広く、マウスピース矯正でも60万円から100万円程度が一般的となっています。 部分矯正だと回数などにもよりますが、20万から50万円程度が多いです。
全顎矯正にしても部分矯正にしても、価格面では大きな幅がありますが、全顎矯正だと2~4年、部分矯正だと矯正の程度にはよりますが6カ月から2年くらいが目安になります。 仮に全顎矯正で150万円だった場合、保定期間まで含めて4年かかるとして考えると、月々の費用は150万円÷48カ月=3万1250円です。 毎月支払うには大きな支出ではありますが、矯正治療後の満足度は高いはずです から、むしろその先の生きている期間で割ったほうが価値として考えるにはよいかもしれません。仮に25歳で矯正治療を受け80歳まで生きたとして55年、150万円を55年の660カ月で割ると1月あたり2,272円となり、決して高くはないのかもしれません。 80歳までの価値で考えるのも極端すぎますが、歯列を改善することにより審美的な改善だけでなく、歯の清掃性が上がり、口腔内疾患にかかりずらくなることを考えると、歯を失うリスクの軽減にもなるため検討する価値は十分にあると思 います。
部分矯正も同じように考えると、50万円を2年の24カ月で割ると1月あたり 2万833円の負担になり、こちらも安いとは言えない負担ではあります。 全顎矯正と同じように55年の660カ月で割ると1月あたりの負担は757円 となり、十分に矯正をする価値があると言えるのではないでしょうか。
このほかにも歯科医院によって再診料や調整料、矯正治療中に必要となる処置に費用が掛かる場合もあり、一概に金額は出せませんので、担当の先生と良く相談してみてください。
矯正治療は審美的な改善効果が最も大きいため、なるべく若いころにキレイにした方が、その後の生活に大きな影響を与える治療だと言えます。 お子様のいるご家族にとっては一生もののプレゼントになりますし、大人になってからいつまでたってもご両親に感謝できるプレゼントの一つですから、是非検討して頂きたいものです。 もちろん、今更始めるのは遅いかな...と思っている方も、健康寿命の伸びた現代において歯を守ることは健康を守ることにつながりますね。
こちらはワイヤー矯正、マウスピース矯正のどちらにメリットがあるかという比較はできません。
当院のマウスピース矯正だと 4 回で 99,000 円のコースがあります。 1 回あたり 24,750 円とリーズナブルな設定料金になっています。 もし 8 回で終わるとしたら、99,000 円×2回=198,000 円です。 再診料が 3,300 円かかりますが、断然お得ですね。
通院がないタイプのマウスピース矯正がありますが、正直お勧めできません。 口の中の状態が変わっていきますし、マウスピースでうまく動かない場合もありますので、定期的にクリーニングや検診を受けられる歯科医院の方が安心です。
4.矯正力
ワイヤー矯正は細く柔らかいワイヤーを徐々に太いワイヤーに変えていきながら歯並びを整えていく治療です。
ワイヤーは基本的に取り外すことはできませんので、24時間歯にワイヤーの力がかかり続けます。一方、マウスピース矯正は最低20時間の装着が必要と言われています。食べる時間や時と場合により取り外すことができるため、20時間しっかり装着するにはしっかりと意識していないとできません。外している時間は歯に矯正力がかからず元の位置に戻ろうとしますので、外している時間が長いと0からとは言いませんが、もう一度歯を動かしていくことになります。
私もマウスピース矯正の経験がありますが、2時間ほど外したままにしておくと、 マウスピースを再び装着した際に矯正力がかかる感触がありましたので、連続2 時間以上外した状態でいると少しずつ後戻りしてしまうようです。このような理由もあり、マウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が歯が早く動くと言われています。
矯正力に関してはやはり、24時間力をかけることができるワイヤー矯正の方がメリットが高いです。
5.取り外しの可否
ワイヤー矯正は基本的に取り外すことができません。ただし、記念撮影や結婚式など、どうしてもという場合には必要に応じて外してくれる医院がほとんどです。その際に費用が発生することもありますが、ワイヤーを取り外す場合は、ブラケットと呼ばれる装置を全て外して、イベントが終わったらもう一度すべて付け直しをします。外した後はクリーニングも必要で時間も最初に取り付けるのと同じだけかかるので、1時間以上かかります。ある程度費用がかかっても仕方ないかもしれません。マウスピースはいつでも自分で取り外すことができるため、自由です。 取り外しに関してはマウスピース矯正にメリットがあります。
6.矯正治療の期間
治療期間は全顎矯正と部分矯正によって異なります。 全顎矯正であれば歯の状態にはよりますが、一般的には1.5年から4年と言わ れています。
この4年には保定期間2年が含まれているため矯正治療自体は1.5年から2年程度になることが多いです。 部分矯正も程度に差がありますが6カ月から3年程度と言われており、そのうち保定期間2年が含まれますので、矯正治療自体は6カ月から1年くらいが一般的 になります。
全顎矯正でも部分矯正でも、歯の位置を完全に固めるための保定期間は非常に重要なので、2年くらいを目安に続けることが必要です。
ワイヤー保定の場合はそのままワイヤーを付け続けることもありますが、歯科医院によっては保定期間はマウスピースで行う医院もありますので、ワイヤーで早く動かして、保定期間は見えにくいマウスピースにするというのも一つの方法ではありますね。
7.矯正治療の成功と失敗
一番の成功は患者さんが満足できたかどうかだと思います。 そしてその結果は費用対効果という点に行きつく気がします。
近年矯正をしている方が大きく増えたのは、良くも悪くもマウスピース矯正の普及が理由の一つと言えます。 従来のワイヤーを使う矯正に比べ、目立たないという見た目の問題が改善したことにより、いままで気になっていた歯並びを改善したいという要望が増えたのだと思います。
歯科医師は患者さんの主訴を聞いて最適な治療をご提案します。その際に、部分矯正で改善が図れるのか、全顎矯正が必要なのか、はたまたオペなどの外科処置が伴うケースでないと厳しいのかがどの治療方法を選択するかの基準となり、そのうえで、ワイヤーでもいいのか、どうしてもマウスピースが良いのか、早く治したいならワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用した方法とするのかを検討します。
もしマウスピースが良いと患者さんの要望があれば、全顎矯正が必要な場合インビザラインをご提案します。ただその前に、2年以上マウスピース矯正を続けていけるのかどうかがわからない中で100万円近い費用を出していただく負担も理解できます。実際にめんどくさくて付けられなくなったという方が多いのも事実です。
そのような場合は一旦部分矯正のマウスピースで続けられるかどうかを試してみることも一つの選択肢です。 歯科医院によってはお試しプランなどがありますし、部分矯正から差額で全顎矯正に移行できる歯科医院もあります。 多くの選択肢があり、フレキシブルに選択できる歯科医院選択というのも矯正治療を成功させるために必要な考え方かもしれません。
さて、矯正治療の成功と失敗ですが、最終的に患者さんが満足できたかどうか。これにつきます。
矯正治療としての失敗と言えるのは
・歯並びが全く改善されたなかった。
・矯正が終わった時点で一番改善したかったところが改善されなかった
・歯が動かなかった
が主なものとなります。
ですが、これも難しいところがあります。ワイヤー矯正で歯が動かなかったというのはほとんどありません。 歯にワイヤーを取り付けているため動かないということが基本的にないからです。 マウスピース矯正の場合は比較的多くみられます。 その理由は、マウスピースを毎日20時間以上付けられない人がいるからです。 マウスピースを付けずに歯が動かないことは当然ですから、これは失敗とは言えません。 論文では動かなかった症例の99%が20時間以上マウスピースを装着していなかったことが原因だと言われています。
矯正治療において、時々かみ合わせに関する問題が発生します。 マウスピースによる部分矯正で起こることが多いです。 「かみ合わせが、始める以前と変わった」と言われることがあります。 しかしこれは矯正治療をしていれば当たり前のことで、歯を動かしているため以前とかみ合わせが変わるのは当たり前のことです。 しかしケースによっては歯を動かしたことで干渉部位が変わり、確かにかみ合わせが良くない状態になってしまっている場合もあります。 ただ、このような場合でも咬かみ合わせの調整のために歯のぶつかるところを研磨したりをしたり、修正用マウスピースを使って数枚で改善する場合が多いです。 ワイヤー矯正でもそうですが、ある程度歯を動かしながら調整しつつかみ合わせを整えていきます。それに比べてマウスピース矯正はある程度最終形態をデザインして進めていくた め、最終デザインまで予定通りに進めばいいですが、そうでない場合も多くあり ます。 口の中は千差万別であるため、計画通りに動いていない場合は良くあり、最終的に微調整が必要になることは仕方ないことです。 部分矯正では~回という回数があり、その回数以内で動かせる最良のゴールに向かって歯を動かします。その回数で完全に治ることが保証されていませんので、ある回数を終わった時点でかみ合わせが気になったとしても、それは失敗とは言えないでしょう。 最終的にその状態の改善が不可能と言われた時、初めて失敗になると理解しておくことが大切です。
また患者さんの満足度という視点で考えると、矯正歯科医学的知見に基づいて治療が不完全であるように見えても、ある程度の費用の中で、患者さんの一番の悩みの改善に関して満足できる地点に到達しているのであれば、それは矯正治療の成功と言えるのではないでしょうか。 矯正治療には費用や期間などさまざまな負担があります。それらを比較考量して患者さんの最も気になっている患者さんの悩みを部分矯正により改善したというのであれば、まさにそこには患者さんを中心とした医療が成立していると言えます。
患者さんが満足できる治療=成功という考え方が一つの答えではありますが、矯正治療は美容整形に近いところもあり、患者さんの要望自体も歯科医学的に困難な場合もあるため、ある程度の妥協も必要です。
8.部分矯正と全額矯正
矯正治療において歯の診断をする際に基本とされているアングルの分類があります。これはエドワードワングルという歯科医師が開発しました。 エドワードアングルは矯正歯科の父と言われ、矯正歯科の理論と技術を大幅に発展させ、歯列の咬合(かみ合わせ)の分類法を確立させた先生です。
その分類にはアングル1級、アングル2級の1と2、アングル3級という、大きく分けて3分類があります。
アングルの分類は第一大臼歯の咬合状態を元に判断を行います。
この分類からざっくり判断すると、全顎矯正は1~3に対応でき、部分矯正はアングル1級と、アングル2級の一部に対応できると矯正治療になります。 アングル3級に関しては顎変形症という、顎の骨自体に問題がある場合は外科的処置が必要になるため、すべてに対応できるとは言えません。
一般的な解釈は上述のとおりですが、先生方の治療を拝見していると、必ずしも これに完全に当てはまるとも言えない症例を見て来ました。 顎骨性の咬合異常は基本的に外科処置ができないと難しいですが、ある程度のところまで治したい。外科処置はしたくないという患者さんの要望に応えるべく、真剣に取り組み、満足された患者さんもたくさんいらっしゃいます。
矯正の認定医の先生から見ると、これは手を付けるべきかどうかと、着手したこと自体を疑問視される先生もいらっしゃいますが、目の前にいる患者さんの要望に応えたい、救いたいという担当医の先生方の努力には感動を覚えることも度々あります。
着手に対する見解の違いはあるものの、満足してもらえる矯正治療を提供できるかどうかは担当医の技量に大きく差があると感じます。 担当医がしっかりした経験と知識を持っていればゴールに到達できる可能性はどの状態でもあると感じています。
部分矯正であっても同じことが言えます。 先生の技量によりできるできないの差は大きいです。 歯の動きを自分で設計されている先生は、術前術後の歯並びを見ても、患者さんの要望に応えることが多くできている印象があります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正のメリットデメリット
1.見た目
誰もが最もわかりやすい違いとして見た目があげられます。 ワイヤー矯正は歯にワイヤーが装着されていて器具が目立ちます。 最近は金具やワイヤーがセラミックで白いものや色が付いたカラフルなものがあったりして以前とはだいぶ違った印象がありますが、やはり口もとに装着されているため目立たないとは言い難いです。
どうしても口もとに目が行きがちで、大きく笑うことをためらう場面もあるでしょう。
マウスピース矯正は透明なマウスピースを装着するので、見た目はほとんど変わりません。
隣で友人がマウスピース矯正をしていても、言われたり、食事の時に外すところを見ない限り、マウスピース矯正をしていると気が付かないほど自然です。
ただ、装着し始めたころは、違和感があり滑舌が少し悪くなります。
見た目をまったく気にしない方は別ですが、表面的にはマウスピース矯正の方がメリットは大きいでしょう。
2.清掃性
ワイヤー矯正は口の中にブラケットと呼ばれるワイヤーの固定器具とワイヤーがあります。
食事の時も取り外すことはできませんので、食べ物が器具やワイヤーに付着してしまうのは避けることができません。 食べ物が付着して残ってしまうと、口の中が酸性に傾いて虫歯リスクも上がってしまうため、食後の歯みがきは必須と言えます。また、通常の歯ブラシではしっかり取り除くことができないこともあるため、念入りの歯ブラシと定期的な歯科医院での清掃が必要です。ワイヤー矯正専用の器具も売っていますので、それを利用するのもいいですし、こまめに歯ブラシをして口の中を清潔な状態に維持しなければいけません。
マウスピース矯正では、必要に応じてマウスピースを外すことができるため、通常通り食後の歯みがきをすればある程度口腔内を清潔に保つことができます。マウスピース自体も時々洗浄剤を使ったり、家庭用の超音波洗浄機を使用したりして清潔に保つことで、口腔内の虫歯リスクはかなり低くできます。 それでも歯と歯の間までしっかりキレイにすることができない部分もありますので、定期的な歯医者でのクリーニングをお勧めします。
清掃性の点では、マウスピース矯正の方がメリットが大きいです。
3.費用
矯正治療の費用は以前と比べて非常に安価になってきたと言えます。 大きく分けると部分矯正なのか全顎矯正なのかで違いがあります。 全顎矯正であれば、ワイヤー矯正では40万円程度から150万円と幅広く、マウスピース矯正でも60万円から100万円程度が一般的となっています。 部分矯正だと回数などにもよりますが、20万から50万円程度が多いです。
全顎矯正にしても部分矯正にしても、価格面では大きな幅がありますが、全顎矯正だと2~4年、部分矯正だと矯正の程度にはよりますが6カ月から2年くらいが目安になります。 仮に全顎矯正で150万円だった場合、保定期間まで含めて4年かかるとして考えると、月々の費用は150万円÷48カ月=3万1250円です。 毎月支払うには大きな支出ではありますが、矯正治療後の満足度は高いはずです から、むしろその先の生きている期間で割ったほうが価値として考えるにはよいかもしれません。仮に25歳で矯正治療を受け80歳まで生きたとして55年、150万円を55年の660カ月で割ると1月あたり2,272円となり、決して高くはないのかもしれません。 80歳までの価値で考えるのも極端すぎますが、歯列を改善することにより審美的な改善だけでなく、歯の清掃性が上がり、口腔内疾患にかかりずらくなることを考えると、歯を失うリスクの軽減にもなるため検討する価値は十分にあると思 います。
部分矯正も同じように考えると、50万円を2年の24カ月で割ると1月あたり 2万833円の負担になり、こちらも安いとは言えない負担ではあります。 全顎矯正と同じように55年の660カ月で割ると1月あたりの負担は757円 となり、十分に矯正をする価値があると言えるのではないでしょうか。
このほかにも歯科医院によって再診料や調整料、矯正治療中に必要となる処置に費用が掛かる場合もあり、一概に金額は出せませんので、担当の先生と良く相談してみてください。
矯正治療は審美的な改善効果が最も大きいため、なるべく若いころにキレイにした方が、その後の生活に大きな影響を与える治療だと言えます。 お子様のいるご家族にとっては一生もののプレゼントになりますし、大人になってからいつまでたってもご両親に感謝できるプレゼントの一つですから、是非検討して頂きたいものです。 もちろん、今更始めるのは遅いかな...と思っている方も、健康寿命の伸びた現代において歯を守ることは健康を守ることにつながりますね。
こちらはワイヤー矯正、マウスピース矯正のどちらにメリットがあるかという比較はできません。
当院のマウスピース矯正だと 4 回で 99,000 円のコースがあります。 1 回あたり 24,750 円とリーズナブルな設定料金になっています。 もし 8 回で終わるとしたら、99,000 円×2回=198,000 円です。 再診料が 3,300 円かかりますが、断然お得ですね。
通院がないタイプのマウスピース矯正がありますが、正直お勧めできません。 口の中の状態が変わっていきますし、マウスピースでうまく動かない場合もありますので、定期的にクリーニングや検診を受けられる歯科医院の方が安心です。
4.矯正力
ワイヤー矯正は細く柔らかいワイヤーを徐々に太いワイヤーに変えていきながら歯並びを整えていく治療です。
ワイヤーは基本的に取り外すことはできませんので、24時間歯にワイヤーの力がかかり続けます。一方、マウスピース矯正は最低20時間の装着が必要と言われています。食べる時間や時と場合により取り外すことができるため、20時間しっかり装着するにはしっかりと意識していないとできません。外している時間は歯に矯正力がかからず元の位置に戻ろうとしますので、外している時間が長いと0からとは言いませんが、もう一度歯を動かしていくことになります。
私もマウスピース矯正の経験がありますが、2時間ほど外したままにしておくと、 マウスピースを再び装着した際に矯正力がかかる感触がありましたので、連続2 時間以上外した状態でいると少しずつ後戻りしてしまうようです。このような理由もあり、マウスピース矯正よりもワイヤー矯正の方が歯が早く動くと言われています。
矯正力に関してはやはり、24時間力をかけることができるワイヤー矯正の方がメリットが高いです。
5.取り外しの可否
ワイヤー矯正は基本的に取り外すことができません。ただし、記念撮影や結婚式など、どうしてもという場合には必要に応じて外してくれる医院がほとんどです。その際に費用が発生することもありますが、ワイヤーを取り外す場合は、ブラケットと呼ばれる装置を全て外して、イベントが終わったらもう一度すべて付け直しをします。外した後はクリーニングも必要で時間も最初に取り付けるのと同じだけかかるので、1時間以上かかります。ある程度費用がかかっても仕方ないかもしれません。マウスピースはいつでも自分で取り外すことができるため、自由です。
取り外しに関してはマウスピース矯正にメリットがあります。
6.矯正治療の期間
治療期間は全顎矯正と部分矯正によって異なります。 全顎矯正であれば歯の状態にはよりますが、一般的には1.5年から4年と言わ れています。
この4年には保定期間2年が含まれているため矯正治療自体は1.5年から2年程度になることが多いです。 部分矯正も程度に差がありますが6カ月から3年程度と言われており、そのうち保定期間2年が含まれますので、矯正治療自体は6カ月から1年くらいが一般的 になります。
全顎矯正でも部分矯正でも、歯の位置を完全に固めるための保定期間は非常に重要なので、2年くらいを目安に続けることが必要です。
ワイヤー保定の場合はそのままワイヤーを付け続けることもありますが、歯科医院によっては保定期間はマウスピースで行う医院もありますので、ワイヤーで早く動かして、保定期間は見えにくいマウスピースにするというのも一つの方法ではありますね。
7.矯正治療の成功と失敗
一番の成功は患者さんが満足できたかどうかだと思います。 そしてその結果は費用対効果という点に行きつく気がします。
近年矯正をしている方が大きく増えたのは、良くも悪くもマウスピース矯正の普及が理由の一つと言えます。 従来のワイヤーを使う矯正に比べ、目立たないという見た目の問題が改善したことにより、いままで気になっていた歯並びを改善したいという要望が増えたのだと思います。
歯科医師は患者さんの主訴を聞いて最適な治療をご提案します。その際に、部分矯正で改善が図れるのか、全顎矯正が必要なのか、はたまたオペなどの外科処置が伴うケースでないと厳しいのかがどの治療方法を選択するかの基準となり、そのうえで、ワイヤーでもいいのか、どうしてもマウスピースが良いのか、早く治したいならワイヤー矯正とマウスピース矯正を併用した方法とするのかを検討します。
もしマウスピースが良いと患者さんの要望があれば、全顎矯正が必要な場合インビザラインをご提案します。ただその前に、2年以上マウスピース矯正を続けていけるのかどうかがわからない中で100万円近い費用を出していただく負担も理解できます。実際にめんどくさくて付けられなくなったという方が多いのも事実です。
そのような場合は一旦部分矯正のマウスピースで続けられるかどうかを試してみることも一つの選択肢です。 歯科医院によってはお試しプランなどがありますし、部分矯正から差額で全顎矯正に移行できる歯科医院もあります。 多くの選択肢があり、フレキシブルに選択できる歯科医院選択というのも矯正治療を成功させるために必要な考え方かもしれません。
さて、矯正治療の成功と失敗ですが、最終的に患者さんが満足できたかどうか。これにつきます。
矯正治療としての失敗と言えるのは
・歯並びが全く改善されたなかった。
・矯正が終わった時点で一番改善したかったところが改善されなかった
・歯が動かなかった
が主なものとなります。
ですが、これも難しいところがあります。ワイヤー矯正で歯が動かなかったというのはほとんどありません。 歯にワイヤーを取り付けているため動かないということが基本的にないからです。 マウスピース矯正の場合は比較的多くみられます。 その理由は、マウスピースを毎日20時間以上付けられない人がいるからです。 マウスピースを付けずに歯が動かないことは当然ですから、これは失敗とは言えません。 論文では動かなかった症例の99%が20時間以上マウスピースを装着していなかったことが原因だと言われています。
矯正治療において、時々かみ合わせに関する問題が発生します。 マウスピースによる部分矯正で起こることが多いです。 「かみ合わせが、始める以前と変わった」と言われることがあります。 しかしこれは矯正治療をしていれば当たり前のことで、歯を動かしているため以前とかみ合わせが変わるのは当たり前のことです。 しかしケースによっては歯を動かしたことで干渉部位が変わり、確かにかみ合わせが良くない状態になってしまっている場合もあります。 ただ、このような場合でも咬かみ合わせの調整のために歯のぶつかるところを研磨したりをしたり、修正用マウスピースを使って数枚で改善する場合が多いです。 ワイヤー矯正でもそうですが、ある程度歯を動かしながら調整しつつかみ合わせを整えていきます。それに比べてマウスピース矯正はある程度最終形態をデザインして進めていくた め、最終デザインまで予定通りに進めばいいですが、そうでない場合も多くあり ます。 口の中は千差万別であるため、計画通りに動いていない場合は良くあり、最終的に微調整が必要になることは仕方ないことです。 部分矯正では~回という回数があり、その回数以内で動かせる最良のゴールに向かって歯を動かします。その回数で完全に治ることが保証されていませんので、ある回数を終わった時点でかみ合わせが気になったとしても、それは失敗とは言えないでしょう。 最終的にその状態の改善が不可能と言われた時、初めて失敗になると理解しておくことが大切です。
また患者さんの満足度という視点で考えると、矯正歯科医学的知見に基づいて治療が不完全であるように見えても、ある程度の費用の中で、患者さんの一番の悩みの改善に関して満足できる地点に到達しているのであれば、それは矯正治療の成功と言えるのではないでしょうか。 矯正治療には費用や期間などさまざまな負担があります。それらを比較考量して患者さんの最も気になっている患者さんの悩みを部分矯正により改善したというのであれば、まさにそこには患者さんを中心とした医療が成立していると言えます。
患者さんが満足できる治療=成功という考え方が一つの答えではありますが、矯正治療は美容整形に近いところもあり、患者さんの要望自体も歯科医学的に困難な場合もあるため、ある程度の妥協も必要です。
8.部分矯正と全額矯正
矯正治療において歯の診断をする際に基本とされているアングルの分類があります。これはエドワードワングルという歯科医師が開発しました。 エドワードアングルは矯正歯科の父と言われ、矯正歯科の理論と技術を大幅に発展させ、歯列の咬合(かみ合わせ)の分類法を確立させた先生です。
その分類にはアングル1級、アングル2級の1と2、アングル3級という、大きく分けて3分類があります。
アングルの分類は第一大臼歯の咬合状態を元に判断を行います。
この分類からざっくり判断すると、全顎矯正は1~3に対応でき、部分矯正はアングル1級と、アングル2級の一部に対応できると矯正治療になります。 アングル3級に関しては顎変形症という、顎の骨自体に問題がある場合は外科的処置が必要になるため、すべてに対応できるとは言えません。
一般的な解釈は上述のとおりですが、先生方の治療を拝見していると、必ずしも これに完全に当てはまるとも言えない症例を見て来ました。 顎骨性の咬合異常は基本的に外科処置ができないと難しいですが、ある程度のところまで治したい。外科処置はしたくないという患者さんの要望に応えるべく、真剣に取り組み、満足された患者さんもたくさんいらっしゃいます。
矯正の認定医の先生から見ると、これは手を付けるべきかどうかと、着手したこと自体を疑問視される先生もいらっしゃいますが、目の前にいる患者さんの要望に応えたい、救いたいという担当医の先生方の努力には感動を覚えることも度々あります。
着手に対する見解の違いはあるものの、満足してもらえる矯正治療を提供できるかどうかは担当医の技量に大きく差があると感じます。 担当医がしっかりした経験と知識を持っていればゴールに到達できる可能性はどの状態でもあると感じています。
部分矯正であっても同じことが言えます。 先生の技量によりできるできないの差は大きいです。 歯の動きを自分で設計されている先生は、術前術後の歯並びを見ても、患者さんの要望に応えることが多くできている印象があります。